消防設備士甲種第4類【独学体験記】素人には実技試験が難しかった

消防設備士


就職氷河期世代の文系素人オジサンが技術系資格に独学で挑戦しています。

今回は消防設備士甲種第4類を受験しました。
勉強を通じて、新しい知識をまた一つ身につけることができました。

受験の動機

ビルメン4点セットの資格取得を目指している中で、消防設備士という資格があることを知りました。

電気工事士に次いで求人数も多く、ビルメン4点セット+αの資格として人気があることから、受験してみることにしました。
普段、目にしているけれど、あまり気にしてこなかった消防設備についての知識を得るいい機会です。

消防設備士とは

世の中にある多くの建物には、火災に備えるため消防用設備の設置が法律により義務付けられています。
これら設備の工事や整備を行うために必要な資格が消防設備士です。

消防設備士には甲種が特類と1類から5類まで、乙種が1類から7類まであり、甲種が工事と整備を行えるのに対し、乙種は整備のみ行うことができます。

試験について

 試験実施機関  一般社団法人 消防試験研究センター
 受験手数料  甲種 5,700円  乙種 3,800円
 受験資格  甲種 受験資格あり
 出題形式  筆記試験 四肢一択のマークシート式
 実技試験 鑑別試験と製図試験の記述式
 合格基準  筆記試験 各科目ごと40%以上、全体で60%以上の成績
 実技試験 60%以上の成績
 合格率  令和2年度 37.2%

他の国家資格による試験の一部免除

電気工事士の有資格者が希望すれば、筆記試験または実技試験の一部が免除される制度があります。

一見すると負担が軽減されるような制度に思われますが、一つ考慮すべきことがあります。
それは、免除制度を利用した場合でも合格基準は変わらないため、免除後の残された試験問題数が減り合格基準に対する1問の比重が大きくなるという点です。

免除制度を利用するか悩みましたが、テキストの電気関係の問題が理解できたこともあり、免除なしで受験してみることにしました。

ただし、実際の試験では免除対象の問題もそこそこ難しいと感じました。なので不安な方は普通に免除制度を利用して学習負担を減らし、鑑別や製図などの実技試験対策に時間を割いたほうがいいのではないでしょうか。

勉強方法

 勉強期間  2か月間
 勉強時間  約90時間(毎日 朝1時間 夜30分)

 

YouTube動画の活用

テキスト学習を始める前に行ったのが、YouTube動画での学習です。

電験三種の受験でもお世話になった、電検合格先生が行っている消防設備士受験対策の講義を視聴しました。
高校で実際に行っている講義を録画した動画で、試験範囲全般を網羅的に学習することができます。

1本40分から60分の動画が24本あります。一通り視聴するだけでも時間はかかりますが、それだけの価値がある素晴らしい内容です。

電検合格先生のYouTube動画

動画は電気工事士資格を使った科目免除での受験を対象にしているため、免除となる「電気に関する部分」についての講義はありません。

使用テキスト

YouTube動画を視聴した後は、テキストを使っての学習です。

ネットの情報を参考にしながら、地元の大型書店で内容を確認してから購入しました。
甲種4類消防設備士のテキストはいくつかありましたが、ネットでの評判がよかったこちらを購入。

▼わかりやすい!第4類消防設備士試験


テキストは評判通り、試験に出題される箇所を中心によくまとめられています。

暗記が必要な部分には語呂合わせが多用されていますので、無理なく覚えることができます。
鑑別問題や製図についても丁寧に解説されていますので、このテキスト一冊で十分合格レベルに到達できる内容になっています。

このテキストを使った学習をいきなり初めてもいいのですが、私のように消防設備について全くの素人は、前述のYouTube動画からの学習をおすすめします。

テキストを読めば、科目ごとに書かれた内容は理解できますが、それぞれの関連性について理解するまでに時間がかかるため、学習効率がよくありません。

法令の勉強で得た知識が、どのように製図で活かされるのかなど、YouTube動画で基本的な事項を押さえてからテキスト学習に入るほうが、理解が進むと思います。

YouTube動画とテキスト学習で知識をインプットした後は、練習問題でアウトプットしていきます。
テキストにも練習問題が記載されていますが、問題数が少ないため新たに問題集を購入しました。

▼本試験によく出る!第4類消防設備士問題集


テキストと同じ出版社から発行されている問題集なので、問題の解説もテキストに準じており、スムーズに勉強を進めることができます。

私が購入したテキストと問題集の他に、公論出版のテキストも人気があるようです。試験会場でもよく目にしました。

実物を手に取って自分に合ったものを購入してみてください。

製図について

素人が甲種の試験を受けるにあたり心配なのが、実技試験の製図ではないでしょうか。
私も初めは製図と聞いて怖気づき、乙種の受験を考えていました。

中でも製図で出題される、配線本数を求める問題は、実際に配線工事などしたことがない素人にはイメージしにくい内容です。

しかし電検合格先生のYouTube動画で、製図の講義を視聴してみると「これなら何とかいけるのでは…」と思うようになりました。

配線本数の問題についても、動画内で素人にもわかりやすい独自の解法を説明しています。
甲種は乙種の上位互換になるため、せっかくだからと最終的には甲種で受験をすることにしました。

試験当日

8月の猛暑日の午後、一番熱い時間帯に地元の工業高校を会場にして試験が行われました。

集合時間の30分前に会場に着くと、既に多くの受験者が集まっています。私が見た限り全員男性でした。
新型コロナ対策で、指定時刻まで会場に入れないため会場周辺でテキストを広げている受験者が多くいます。

この日はとにかく暑く、会場に着くまでに大汗をかいていたので、私はテキストを開く気にならず日陰でひたすら入室時刻を待ちました。

定刻になり、入り口で手指消毒と検温の後、試験室へ向かいます。

そしてここで驚愕の事実が…

試験室に冷房が効いていない

比較的新しい学校なので天井には明らかにエアコンと思われるものが設置されていますが、作動している気配が全くなく、試験室の窓も全開です。

新型コロナ対策として試験開始まで換気を行っているのだろうと前向きに考えてみましたが、試験開始後もエアコンが作動することはありませんでした。

私を含め、オジサンやお兄さんたちの熱気がムンムンする中での試験となりました。

試験時間は3時間15分。筆記試験と実技試験の問題用紙が同時に配布されていることから、途中休憩なしの一本勝負のようです。

筆記試験

まずは筆記試験を順番に解答していきます。問題のほとんどがテキストで学習した内容からの出題でした。一部、初見の問題がありましたがそこにはあまり時間をかけずにすすんでいきます。

前述のとおり、科目免除となる電気に関する部分はテキストの内容よりやや難しい問題が並びますが、冷静に考えれば問題なしです。

開始から1時間ほどで全45問に解答することができましたので、時間が足りなくなる試験ではなさそうです。

実技試験

筆記試験から引き続き、そのまま実技試験に挑みます。

まずは鑑別問題。テキストに記載されているような基本的な問題は難なく解答できましたが、少し捻った問題にはかなり苦戦しました。
具体的には感知器の部品の一部が写真で示され、感知器名を答える問題です。実際の業務に携わっている方であれば簡単なのでしょうが、素人にはお手上げです。少ない知識から何とか解答を導き出そうとしますが、その知識もうろ覚えなので何ともなりませんでした。

つづいて製図問題。こちらも素人にとっては少々捻りが効いた問題でした。

出題は平面図の作成と、系統図の配線本数を求める一般的な形式でしたが、テキストで学習した問題よりも条件が複雑で素人を惑わせてきます。

どちらもかなり時間をかけて悩みましたが、勉強していない内容が試験中に分かるはずがありません。

製図問題は部分点があると聞いているので、分かるところはミスがないように丁寧に記入して解答することにしました。

素人にとって、実技試験のハードルは高かったです。

結果発表

試験から約1か月後に合格発表がありました。

結果は合格!

実技試験の出来がいまいちだったので心配していたのですが、製図問題でかなり部分点がもらえたようです。

まとめ

素人でもきちんと準備をして挑めば、消防設備士甲4に合格できることがわかりました。

テキストだけでは理解が難しい内容も、電検合格先生のYouTube動画を視聴すれば、無理なく勉強を進めることができます。
後は演習問題を毎日繰り返し行えば、合格レベルの知識が必ず身につくはずです。

勉強を通じて得られた消防に関する知識、火災報知設備や感知器の仕組みはとても興味深いものでした。

調子に乗って、次は身近な消火器についての知識を得るために、乙6の受験を考えています。

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